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迷い道クレシェンド【HQ】【裏】

第40章 アップルアンドシナモン4


「1人に、して…」
「出来るわけないだろ!もう遅いから、寮まで送る!」
「やだっ、私、惨めだもの…っ!!」
「気が済むまで泣いてていい!!」
「…ううっ…」
また、この人に借りが出来てしまう。
手首から伝わる体温が、熱い。
駅まで行くも、終電が終わっていた。
木兎さんは変わらず私についてきてくれていた。
歩きでの道順を案内すると言ってくれたけれど、もうぐじゅぐじゅに泣いてる私はそれどころじゃなかった。
「木兎さん…助けて…」
「……」
前とは違って、彼から誘ってこない。
痺れを切らして聞いてしまう。
すごく真剣な顔で私を見つめてくれる。
熱のこもった瞳に、私が屈しそうだ。

手近なホテルに入ると、雪崩れ込むようにベッドに入る。
化粧がすっかり崩れた私の顔を、綺麗に拭いて、優しく背中に腕を回して撫でてくれる。
「っ、ひっく…」
泣き止めずに嗚咽混じりにその腕の温かさを確かめる。
「ねぇ、もう、どうなってもいい……この前みたいに、して?」
「…っ」
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