第34章 アップルアンドシナモン3
繋心さんは、家に戻ってから私がいないのを知って、ずっと探していたらしい。
ほとんど寝ないでここに来た様だった。
あの人には、二度と来ない会わないと約束させたそうだ。
帰ってからゆっくり話したかった、と言っていて、申し訳ない気持ちになった。
「ごめんなさい…」
「だーからなんでお前が謝んだよ、俺が何も考えてなかった」
「でも私、酷いことした」
それしか言っていないのに繋心さんは勘付いていたようで
、いつもするように指で私のおでこをぴんとはたく。
「いつ…!!!!」
「それだけのことを俺がしたんだ」
「そ、そんなこと…っ」
震えて声が出せない。
相変わらず泣けてきて、静かにベッドに横たわる。
何も言わずに大きな手が私を撫でてくれる。
懐かしくて、心地よくて、雨の音が響く中、固く手を結んで、私たちは眠りについた。