第3章 背中と甘酒
急ぎ足で家に着くと、るるは風呂に行ってる様だった。
テーブルと台所は綺麗に片付けられ、尚且つ流し台はピカピカに磨かれていた。
静かな家で、シャワー独特の水の流れる音だけが響く。
自宅だというのにソワソワする。
思春期の、初体験かっていうくらい、女のシャワーが長く感じた。
脱衣所が開く音がすると、タオル1枚巻いたるるが出てきた。
「け、しんさん!!!!」
俺がいるなど思ってなかったるるが驚いて後ろに下がる。
まさか、そんな色っぽい姿で出てくるとは思わなかった俺は、名前も呼べずに呆然とした。
「…だ、え……」
漸く振り絞った言葉は言葉じゃなかった。
「おかえりなさい、酔ってますか?」
いつもの余裕を取り戻すと、彼女はふわっと笑った。
部屋中が石鹸のイイ香りがする。
「着替えたらお茶漬け作りますね?
ちょっとだけ待ってもらっていいですか?」
何しに帰って来た。
あまりにだらしない自分に本当に嫌気がさす。
意を決して、後ろを向いた彼女に一気に詰め寄る。
濡れた髪が胸元にあたる。
壁に追い込むと腕で逃げないようにした。
「……待てねぇ」
自分でも驚く低い声。
「っ!!」
珍しくるるがびくっと肩を震わす。
濡れた髪を上げうなじに口付けするとひくっと全身が揺れた。
「っ…!!」
「るる、聞いてくれ、俺はお前が…」
「いやっ…!!」
初めて聞いたるるの拒絶の言葉。
酔いが一気に覚めていく。
「や、こわっ…こわいっ!!」
今更、こんな、決意してそんな言葉、ずるいじゃねぇか。
「るる、るる…!」
間を詰め、隙間なく彼女の身体に身体を寄せる。
身長差のせいで俺の先端はるるの腰にあたる。
「やめて!ひ、やだぁっ!!」
ぽろぽろと大粒の涙を流し、必死に抵抗しようとする。
「るる…なんで…?」
更に腕を回してぎゅっと抱き締めると、中にいるるるは暴れ始める。
「や、やだぁ!!やだ、やだ!やめてっ!!!」
子供の駄々のようなそれは、全くいつもの彼女と思えない。
「どうしたんだよ!?俺のこと嫌だったのか?
ならなんで、昨日はキスした?手を繋いだ?」
「やぁっ!!はな、はなしてぇ!!」
過呼吸になりかけている。明らかにおかしい。
落ち着かせようと自室に運び、ベッドに横にした。