第27章 【番外編】いちばんぼし
でも今日は少し違って、家に着くと、ご飯がテーブルに並んでいた。
繋心さんは、うとうとと座椅子で寝ている。
「わぁ、美味しそう…」
「ん、おかえり」
「起こしちゃいましたか?すみません…」
「いや、少し寝れたから」
素朴な和食と揚げ物が並んでいた。
手付かずの食事を見ると待ってくれていたらしい。
「どうしたんですか?今日は」
「や、気分が向いただけだ」
少し困ったように言うと、食べ始める。
繋心さんも寂しかったのかな、と思うと少し嬉しく感じる。
手を洗ってお茶を煎れて慌てて食卓に戻る。
「いただきます」
「冷めちまったけどな」
「ん、でも美味しい…」
「…そうかよ」
少し恥ずかしそうにそっぽ向いて、ぼそっと言われる。
「ありがとうございます」
くすくすとつい笑ってしまった。
久々の他愛ない会話を交わすご飯は、ほんのり暖まった。