第25章 【番外編】合宿と長い夜
(ガキかっつーの…!)
今顔を見たら間違いなく襲う。
煙を吸いながら無意識に歯を食いしばる。
「繋心さん、怒ってますか?」
「怒ってねーよ」
「ウソ」
「ほんと」
「真面目な顔してる、眉間にしわ入ってる」
「怒ってねーよ」
「私、付いてきたの、怒ってます?」
「怒ってねーって」
「じゃあこっち見て下さい…」
「無理」
「…むり?」
テンポ良かった会話に間が出来た。
るるは不思議そうに言う。
顔は……見れてない。
「ね、こっち、み」
「見たら襲う」
「おっ…!!!」
るるの言葉が珍しく詰まる。
「…ふ、2日」
「あ?」
「2日、ずっと毎日、繋心さんの怒鳴り声聞いて、真面目なコーチ姿見て」
「止めろ」
「ね、私、我慢したんですけど」
むっとした声にどきっとする。
肩に乗せている手に力が入る。
「繋心さん、好き」
「…っ」
俺がそれに弱いのを知ってる。
「知ってる」
自分に言い聞かせるように呟く。