第25章 【番外編】合宿と長い夜
今回は合同合宿ではなく、小さな規模だったが、それでも大事な期間だし重要視していた。
OBとして澤村と菅原も来ていた。
「わあ!久しぶり!」
るるは喜んで同級生二人に会いに行き、固い握手をする。
「無闇にさわんなっつーの…」
誰にも聞こえないように1人ごちる。
手を握られて真っ赤になる菅原と、こっちを見て笑う澤村。
性格が出るのが面白いが少しいらつく。
「るるさん!久しぶり!
き、綺麗になったね…」
人懐こく、誰にでも隔てなく接する菅原が緊張しながら目線も合わせずに言う。
「え?数ヶ月だよ!変わらないよぉ」
(…アイツ…)
微々たる変化だが、確かに新居に越してから更に垢抜けた感はある。
それは日々、植物に水を与えるように俺がやってきた世話だ。
なんとなく、それを他人に感づかれるのは気持ちいいものじゃない。
そわそわしながら準備してるふりをする。
「大学近くにアパート借りたって他の奴に聞いた」
「烏養さんが出入りしてるとか」
「一緒に暮らしてるって言ってなかったっけ?」
「え!?」
「そういうことか」
二人別のリアクションを取る。
澤村は妙に納得するとにっと笑う。
「楽しそうだな、今度遊びに行くか」
「あ、いいな、行ってみたい」
「絶対来るなよ!」
釘を刺すと澤村はまた笑って、やっぱ?と小声で言った。