第25章 【番外編】合宿と長い夜
「旅に華は大事ですよね」
両手を合わせて武田先生が出迎えてくれる。
運転席で思わずため息が出るが、るる本人はとても楽しそうだった。
(ま、いっか…)
一緒に来れた嬉しさと、30近くにもなってまだある己の馬鹿な独占欲は複雑に絡み合う。
信頼もしてるし、彼女の一直線過ぎる愛情もよくわかっているつもりではいるが……。
(はー…)
少しだけ成長した後輩を見て、嬉しそうに話しているのを見ていると、なんとなく連れてきてよかったとも思った。
「スポーツトレーナーやってるやつから献立表貰ったから、るるはその通りに飯を作ってくれってさ」
「了解ですっ!」
「これでマネの負担も減るし、こっちに集中して貰えるから助かるぞ」
「あ、今の言い方嬉しい。
もう一回、言って?」
「…言わねえよ」
ブーイングの嵐で車内は満たされた。
個人的にはコイツの飯を他人に食わせるのは、若干、腹が立った。