第24章 【番外編】けがれなきくうかん
学校が決まったら出ていく、と言うと繋心さんのご両親はとても悲しそうな顔をした。
「うちのバカが何かした…?」
「ああ!?」
「とんでもないです!
そうではなくて、生活費がかからないということに凄く罪悪感がありまして…その」
「お嫁に来たら変わらないわよ!」
「学校もそっちのが近いしいいだろ」
吸い殻を落としながら繋心さんが大雑把にそう言う。
「若くて可愛いし、大学なんか行ったらあんたよりよっぽどカッコいい子たくさんいるんだからね?
すぐ取られちゃうよ!?」
「…ぐっ」
(繋心さん、そこ反論するところ!
何故私を睨むんですか…!)
「まあでも、大学まで送迎はねぇ…」
「そう、それもありまして。
近くても隣町ですし!」
なんとか説得しようと再び反撃に出る。
「一緒に暮らしなさい」
「は?」
「え?」
繋心さんとほぼ同時に言う。
そして、お母様のお顔をまじまじと見つめる。
「同棲するなら、許します。
防犯対策も出来て、お嫁さんにも逃げられない。
完璧ね!?お父さん!」
「…ん」
「店はどーすんだよ?」
「毎朝自転車なりバイクなりで通えばいいでしょ?」
驚いたけど、もしそれを許可してもらえるなら、とても嬉しい。
出ていくとしたら、それは心残りだった。
好きな人と同じ屋根の下、それは、とても嬉しい。
小さくガッツポーズをすると、繋心さんに、
「それで、いいですか?」
と甘えて言ってみた。
たぶんすごく、にやにやしてたと思う。
呆れた繋心さんは、しょーがね、って一言でそれを承諾してくれた。