第22章 救済と酒
「面白いねー」
と笑い声が入ってくる。
「そういうことじゃねーよ」
思わず突っ込みを入れると、嬉しそうに笑う。
また人の見てるところでそういう顔をする…。
家帰ったら説教だ、と内心悪態をついてまた一口泡をすする。
「お待たせしましたー!」
飲み物のグラスが運ばれ、置かれ、あとはこっちで回すからー、なんてよくあるやり取り。
の、はずだったが今回はこれがまずかった。
グラスを空にしたるるが明らかに頭がぼんやりとしていた。
目がとろんとして、真っ白な肌がうっすら桃色。
「るる、これ、飲んじまったか?」
「ん…」
「大丈夫か…?」
「らいじょーぶ、でーす」
「帰ろう」
嫌な予感して手を引く。
「らめです、ごはんたべないと、かえりまひぇん」
頑なだった。
「………」
「………」
俺たち二人に沈黙が流れ、回りのガヤは一際大きくなる。
「るるちゃん!コイツとはどーなの?」
「ふふ、らぶらぶです」
甘ったるい声を出して、ピースしながら言う。
しっかり腕は組んで。
「何がそんなにいいの?
高校生つったら俺たちなんてオジサンじゃない?」
「みんな好きになっちゃうから、内緒です」
ねー!と俺の顔見て言ってるが、男は俺が願い下げだと思わず突っ込んでしまう。
早くこの場から去りたくて、変な焦りが出る。
「るる、帰ろ…」
「やですー!誘ってくれたのけーしんさんですよー!?」
大声でごねるので、指をたててしー!と合図する。
誘うって?と他のヤツがわらわらと集まってきた。
「そういう意味でじゃねーよ!」
みんな酒が回ってるのか話が飛びまくる。
「じゃあえっちしてくれるなら帰ります」
閃いたかのようにるるは笑顔で言った。
場の空気が固まる。
「な、んでだよ…!!」
「してないなー、さいきん」
「しただろ」
「毎日したい!」
「お前なぁボロ屋の実家暮らしなめんじゃねえよ」
「前のおうちは毎日したのになあ!」
「それが嫌で家出したんだろ、んなこと言うなら戻れよ」
「ひどい…っ!」
「はあ?」
「繋心さんと毎日シたいのに…!」
綺麗な顔が歪み、割と本気で泣き出される。
「おい…」
周りがドン引きしてる。
早く店を出ないと気まずい…。
「わかった、じゃあ帰るぞ…」
「ほんと?やったー!」
「いいなー!たっぷりやってこい!」
「ばっやろー!!!」