第19章 ほしゅうじゅぎょう
「森井先生…」
おずおずと職員室に入ると、彼はいた。
少し肩幅の広い、真っ黒な髪の若い先生だ。
(でも多分繋心さんと同じくらいなんだけど…)
「るるさん、課題はどうですか?」
「下の名前で呼ばないでください…」
こういうところも苦手だ。
馴れ馴れしく、うまく言えないが、ねっとりしている何かを持っている。
「ごめんね。この後時間取ってあるから…」
「友達の委員会を代わってあげました。
そのあとでいいですか?図書室にいますから」
早口で言うと、捕まらないようにすぐ職員室を出ようとした。
「僕との約束があるのに、そういうことしたの?」
「はい、すみません。
お待ちしてますから失礼します」
鞄を持つと急いで図書室へ向かった。
上履きの音が鳴るくらい早足で行った。
苦手、というより、少し怖かった。
(徹さんと同じタイプだからだっ…)