第6章 0630
本当に可愛い。
ただ、どうやってこの子を連れてきてくれたのか…
ほんの少しだけど、不思議に思わないこともなくて…
でもね、誕生日に限ってエルヴィンがおかしなことをするなんて、絶対にない。
だから、聞かない。
ただ喜ぼうと思う。
この子が私のところへ来てくれたこと。
「エルヴィン」
「ん?」
「あの、お礼を…何かほしいものとかある?」
本当に嬉しい。
この子のこと、それから、エルヴィンが私の為にしてくれたこと、全部。
だから、少しでもお礼がしたい、そう思ったんだけど…
「……、…いいかな?」
「ん…わかった。頑張って、みる…」
まさか
『今日は君が上、というのはどうだろう…?』
そんなこと言われるなんて。
しかも、耳元で。
だからその声、ダメだってば!
ゆっくり深呼吸して、落ち着いて…
「でも、したことない、から…下手だよ?」
「ナナバ。
上手い下手じゃない、君とシたい。
それに…君の初めてだ。とても嬉しいよ?」
…っ、またそういう事!
とは思っても、私だってエルヴィンとシたいんだ。恥ずかしいから、口には出せないけど。
「君は、ここね」
近くにいてほしい。
でも目があうと恥ずかしいから…
枕を背もたれにして、横向きに着席。
さすが熊、お座り上手だね。
「ナナバ…」
「ん、エルヴィン…」
気付いたらベッドで抱き合ってた。
お互い、何も身に付けずに。
エルヴィンの喉元にキスをしながら、指先でゆっくりと鎖骨をなでてみる。
「っ、くすぐったいな…」
「ふぅん……ここ、弱いのかなぁ…?」
「男だからな、あまり気にしたことはなかったが…」
『いやしかし、もしかしたら』なんて、ちょっと困った顔。
困らせたいわけじゃないんだけど、こんな表情、可愛い。もしかして、弱点見つけた?
あ…、クセになりそう、かも。
ごめんね?
「エルヴィン。どうしたらいいか、教えて?」
「あぁ…、任せてくれ」