第14章 たまにはいいだろ?
あぁ、もう…
ヤっちゃった…
「顔赤いな、大丈夫?」
「う、うん!
大丈夫大丈夫!」
はぁ…
終わってみて今さらまた恥ずかしさがこみあげてくるなんて…
ちらりと横目で盗み見る。その表情、何だか悔しい。だってもういつも通りの顔。あんな厭らしい顔してたなんて想像もできないくらい穏やかな…
「ナナバ」
ふいに伸びてきた左手。
私のおへその下辺りをちょんちょんとつついたかと思ったらまるで包むようにして撫で始めた。ゆっくり、ゆっくり。
なで なで
なで なで
という以外に表現しようのない手つき。とっても優しく撫で続ける。不思議だな…たったそれだけなのに、不思議と恥ずかしさは消えていって、心地いいあたたかさが全身に広がっていく。やっぱりエルヴィンは魔法使いなんじゃない?
なで なで
なで なで
にしても、飽きないのかな?
そんなに撫でても何もでないよ?
「…エルヴィン?」
「バスケット、新しいのが必要だ」
「え?」
「もう少し大きめのね」
だって、次は三人で来るかもしれないだろ?
「!!」
囁かれた言葉に、撫でる手のひらに。なんだろう、この感じ…すごく期待してしまう…
何に?…分からない、けど、もしそんな未来があるのなら…
「うん…
大きいバスケット、今度探しに行こう?」
一緒に。
任せて、スケジュールは全部頭に入ってる。
きちんとこなせるように、どんな事でも手伝うから。だからまた一緒に過ごしてほしい。
…いいよね?
「エルヴィン」
ほら、呼ぶだけで通じるんだ。
私に微笑んで、私に頷いて、私を抱き寄せる大好きな貴方。私もありったけの想いを込めて、その大きな背を抱き寄せる。
エルヴィンと過ごせる大切な一日…
次のお休みも、どうか晴れますように。
End