第6章 0630
そろそろ10時か…
きっと、もうすぐ会える。
楽しみだろう?君も。
コンコン
「あぁ、いらっしゃい。入っておいで」
小さくカチリと音がして、遠慮がちに開けられた扉。
その隙間からは、君が恥ずかしそうにこちらを覗き込んでいる。
「エルヴィン…」
「ナナバ。待っていたよ」
彼女を部屋へと招き入れる。
もう何度も来ているが、恥ずかしそうな姿は変わらない。
前に『何度きても慣れなくて…』そう言っていた。
何も問題はない。
慣れないと、そう恥ずかしそうに言いながらも、来てくれるじゃないか。
...俺のところへ。
「君にプレゼントだ」
「これ、昼間の?」
受け取った君は何かを察したようだ。
驚いているのかい?
目がまん丸だね。
「エルヴィン、これって…」
「うん?さぁ、何だろう。
開けてみてのお楽しみ…というやつだね」
袋の上からその形を確認しているのか、丁寧に丁寧に何度も撫でている。
「…!!!」
「エルヴィン…!」
「喜んでくれたかな?」
「うん…!ありがとう!」
ぽろぽろと涙をこぼしながら、でもとても素敵な笑顔で君が抱きしめている。
「ナナバ…よかったら紹介してくれないか?
君の大事な"子"なんだろ?」
「うん。あのね、この子とっても可愛くて」
堰を切ったように話し出した君は、本当に嬉しそうで。
喜んでくれてよかった。
嬉しそうな君を見ていると、
同じだけ、喜びを感じることができるから。