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まったりの向こう側

第5章 check the answer



「……」


「ナナバ?」


(流されない、今度こそ…!)


「だめ。絶対だめ」


「…イヤ、なのか?」


そんなことは言っていない。
時と場所を考えてほしい。そういう意味での拒否である。


(でも、せっかく用意してくれたんだし…)

(あぁ、もう!私って甘くない?!)



「…エルヴィン。"お願い"があるんだ」


「聞かせてくれ」


「今からはしません。時間を考えて」


「了解した」


エルヴィンはこれまたあっさりと引き下がる。
流石に、分別をなくす程盛っていると思われたくないのだろう。


「それからもう一つ」

「脱ぐか、着るか、…どっちかは自分でやるから」


「つまり、どちらかは私がしてもいい、と」


こくんと無言で頷く。
恥ずかしいのだろう、目尻が赤く染まっている。が、その眼差しは思いのほか力強い。


「因みに、両方は?」


「だめ。どっちかだけ」


「ふむ…」





「よし。それじゃ、着せる方にしよう」











「これは…。してやられたな」


「ん」


ナナバは軽く頷く。
が、喋らない。喋ることが出来ない。


(やはり、君は賢い)


着替えを見られまいとナナバが考え出した方法。

それは、肩からシーツを掛けずり落ちないようにとその両端を銜えて背をむける。というものだった。

お蔭で、目の前で脱いでいるというのにエルヴィンはその姿を直に見ることができない。


(目の前に美味しいおやつがあるというのに、お預けをくらっている犬になった気分だ)


しゅる、と時折衣擦れの音が聞こえれば、その度にエルヴィンは小さく歯噛みする。


(見たい)

(……少しだけ)


シーツを捲ろうと手を伸ばす。


「んっ!」


すると、間髪いれずにストップがかかった。


(…デジャブか?)



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