第5章 check the answer
「ナナバ…。君は、私以外の男にもこういうことをさせたいのかな?」
「な!?そんなこと…!」
「あぁ、勿論ないと信じているよ…でも…」
無い
つるつる
と言ってもナナバは男ではない。
限りなく平坦ではあるが、エルヴィンが撫でるその場所は確実に女のそれ。
(本当に、飽きずに触っていられるな)
「っ、もう!!!」
いつまででも撫でていられそうな状況に、ナナバは勢いよく振り返り距離をとる。
そんな彼女の手を、今度はエルヴィンが引き寄せた。
そのまま自身の胸へと導けば、シャツの上から撫でさせる。
「どんな触り心地だい?」
「……硬い」
「そう。女性の君とは違うんだよ」
言っている意味がわからないのか、それとも当たり前のことを念押しされたのが不思議だったのか、ナナバはぱちくりと瞬きを繰り返す。
「誤解、しないでほしいんだが…」
「起伏としては割りと近い感じだと思う。いや、その、なんというかだな、馬鹿にしているわけではないし、物足りないとか、そういうことでは…!」
「うん。分かってる」
「ありがとう。君は優しいな」
「続きだが…
今触ってみてどうだったかな?
明らかに違うだろう?君と俺の胸では」
「…うん」
ナナバの手は、エルヴィンの左胸に添えられている。
「ナナバ」
「ん…」
「ある、ない、ではなく…君は女性なんだ」
「それは、つまり?」
「大きさや形の問題ではない。そう、こういう言い方はあまりよろしくないのだろうが…」
「私以外に、不必要に晒すようなことはしないでほしい」
「だから…その柔らかくて触り心地がよい、とても魅力的な胸をきちんとガードしなさい。ということなんだ」
「……?」
「まだ伝わらないか…。要するに、私以外にも君をそういう目で見ている者がいる、ということだ」
「!!!」