第5章 check the answer
はーーー………
と、盛大に溜息を吐いて見せたナナバは『今回だけですから』と言いエルヴィンの手を開放してやる。
ただし、警戒は解かない。
また何事か言い出す予感と共に、見据える視線でエルヴィンに続きを促す。
「あぁ、ありがとう (本当に痛かった…)」
「ごほん。改めて……。今までに何度も君とシてきたわけなんだが」
「ちょっと!またショーモナイ事!」
「違う!聞いてくれ、頼むから」
(なんでこんな事ばっかり…!)
相変わらず、エルヴィンはこの手の話しに事欠かない。
それはつまり、ナナバの事が好きだからに他ならないのだが、恥ずかしさが勝る彼女はそれにはまだ気付かない。
そんな"いつも通り"な彼に、目じりは吊り上げたまま、いつでもつまめるように無意識に構える。
エルヴィンもまた無意識に手の甲をさすっては、深呼吸と共に静かに続けた。
「そう、その度に不思議だったんだ」
「君は、ブラジャーはしていないのかい…?」
「………は?」
(…今日の分は、言わないでおこう)
「昨日もそうだった。君が身に付けていた下着は、シンプルな白のショーツだけ……」
「上には何も、なかった」
ナナバの口元が、またもやひくついている。
が、昨晩のコトを思い返しているのだろう。目を閉じるエルヴィンは彼女の変化に気付かない。
「私は構わないんだ。いや、むしろ嬉しいくらいだよ。すぐに触れるし」
「それに、あの下着は君によく似合っていた。これは間違いない」
満足気にうんうんと頷くその頬は、珍しい程に紅潮している。
「………」
「しかし女性として、上に何も身に付けていないのは…それは、まぁ、何というか…。無防備すぎやしないか、と」
今度は顎に手を添え、難しそうな顔で考え込む。
その雰囲気を文字で表現するなら、うむむ、といったところだろうか。
そんなエルヴィンを一瞥すると、ナナバは静かに背を向けた。