第4章 甘い香りのその果てに
コンコン
「「!!」」
ナナバがエルヴィンの肩越しに見ているのは、唯一の出入り口である扉。
その扉が2度、ノックされた。
「エルヴィン、鍵は」
「そういえば、かけていなかったな」
小声で確認をした二人はしばし息をつめて様子を伺う。
(急ぎでなければ、このまま立ち去る、か…?)
コンコン
「…っ」
「大丈夫だ。…少し我慢していて」
エルヴィンは軽く呼吸を整えると、いつも通りの声音で返す。
「すまないが取り込み中だ。急ぎでなければ、また明日お願いできないか」
『……』
『おい』
(この声は…)
(兵長…!)
まさかの来訪者。
いや、訪れたのが誰であろうと、まさかと思ってしまう。
…何しろアレコレ込み入りすぎている。
『……』
『何処でナニをしようとお前らの勝手だが』
『"ほどほど"にしておけ』
それだけ言い置くと同時に、遠ざかっていく足音が聞こえ…
そして静寂が訪れた。
「今の、まさか…」
「どうやら気づかれていたようだ」
こんな事ばれるなんて…と顔を真っ赤にするナナバとは対照的に、エルヴィンは落ち着いていた。
「…ナナバすまない。勢いだけでしてしまうところだった」
「え、あ、それは…。私も、ごめん…」
「お陰で冷静になれた。今日もいつも通りに外でだ。いいね?」
「…ん」
小さく頷いたナナバの額に、キスを一つ。
そしてしっかりと抱きしめ直せば、エルヴィンは激しく突き上げる。
「あ、あぁっ!ん、っ、エルヴィン…!」
「ナナバ、っ、今日はまだ、今はまだ、だが、」
「ふっ、ん、んっ!」
「いつか、必ず…、っ、君に」
「あ、もう、ダメ…!」
「あぁ、俺もだ…一緒に、……っ!」
ナナバが一気にエルヴィンを締め上げ、直後エルヴィンは直ぐ様引き抜けばナナバの腹へと全てを放つ。
「…っ、はっ、…はぁ」
「ナナバ…、大丈夫かい?」
「ん、大丈夫…」