第3章 T Of A story
「今帰った」
洗濯から戻ったおばあさん。
玄関の引き戸をはずし、持ち帰った桃を居間へと運び入れます。
「お帰り。おや、随分と大きいね」
「…何?前回と違うのか」
「うん、二回りくらい大きいかな?」
聞いた話だと、これくらいだったみたいだよ。とおじいさんは両手を広げて見せます。
それに比べると、目の前の桃は本当に巨大で…
包丁で果肉を削ぐには少々時間がかかりそうです。
さて、ここからどうしたものかと、桃を前に思案する二人。
…メリ
すると、どこからともなく何かが軋むような音が聞こえてきました。
メリメリメリ
どうやら音は桃からしているようです。
すると程なく…
バッコオォォォオオオオン!!!!!
部屋中に飛び散る果肉と果汁。
むせかえる程に充満する甘い香り。
二人が恐る恐る見回すと、それはそれは酷い有り様ではありませんか。