第3章 T Of A story
がらっ!!!!!
おばあさんは帰るなり力いっぱいに引き戸を開けます。
勢いのあまり、戸は一瞬にして全壊してしまいました。
「おい、喜べ」
「お帰りなさい。って、戸、全壊…」
「そんなものどうでもいい。とにかく喜べ」
「失礼ですが…、何に喜べばいいのでしょう?おばあさん?」
「これだ」
おばあさんは顔色一つ変えず、また、壊した戸をものともせず室内に桃を運び入れます。
「大きな桃だ…。ハイ、とりあえずこれ」
そう言っておじいさんは包丁を差し出します。
おじいさんから包丁を受け取ったおばあさんは、手際よく果肉を削いでいきます。
するとどうでしょう、桃の中から人が出てきたではありませんか。
「これはすごい…。桃から人が産まれるなんて…」
「この眺め、悪くない」
眺め…?
あ、え、ちょ!ななな、何も着てない!?
へ、兵長!だめですよ、見ちゃだめです!
ナナバさん、止めてください!!!
「ん。流れとはいえ、女の子が全裸はまずいよね」
「おばあさん、少し後ろ向いててくれますか?」
「断る」
「…バレたらミケに削がれる、かな?」
そう言われたおばあさんは、渋々ですが二人に背を向けました。