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まったりの向こう側

第2章 Please give me...



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調査兵団敷地内に、正午を知らせる鐘が鳴り響いている。

そしてそれを合図に、昼食をとるため食堂にむかう人の流れがいたるところで出来上がっていく。



その流れに逆らいながら、落ち着きなく、すれ違う人の顔を確認している人物が一人。



「帰ったか」

「あぁ、ただいま」



軽く息をはずませながら歩いてきたのは、エルヴィンその人。



(確か、戻りは……)
「ずいぶんと早いじゃねぇか」

「ん?そうかな?」


至って普通だがと答えつつ、まさしく"気も漫ろ"といった風で今は辺りを見回している。

誰かを探しているのだろうか。
いや、間違いなくそうだろう。

はぁ…、と薄く開いた唇からもれると同時に、リヴァイの眉間に皺が一つ現れた。


「……ナナバなら、お前の部屋だ。シーツを抱えて入っていくのを見た」

「!」
「そうか。…ありがとう助かった」


緩んだ頬と、下がった目尻。

誰がみても、ほっと気が抜けたな、というのが丸わかりだ。


(…締まりのない顔しやがって)


そんな風に思われているなど露知らず、エルヴィンは頼れる人類最強へと口を開く。


「すまない、ついでに一つ頼まれてほしい」

(言い切りやがったな)
「チッ…、何だ」

「暫く人払いを頼む」


…リヴァイの眉間に、皺が増えた。
人払いの理由が分かりやすすぎたからだ。


「無論、礼はする。……これを」

「…!!」


エルヴィンの手の中には、小ぶりの紅茶缶。

飲んでみたい、だが流通量やら価格やらで手がだせない。と、いつかリヴァイが口にしていたものだ。





「……、…晩飯までだ。それ以上は自分でどうにかしろ」

「充分だ。ありがとう」


言いながらエルヴィンは振り返ると、足早にその場を後にした。





「…ハッ。俺も随分と世話焼きになったもんだ」






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