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まったりの向こう側

第2章 Please give me...





(これは…、一体何が起きている?)


今しがた、促されるままにエルヴィンはベッドへと横になった

そして、すぐ目の前には…同じく横になり目を閉じるナナバがいる。


「…ん……」

「!」


そっとエルヴィンに抱き着くナナバ。

素面の彼女であれば、間違いなくしてこないだろう行為に一瞬たじろぐ。


(どうしろと、いうんだ)

(あぁ、いや…彼女はきっとまだ夢の中だ)


それならば、どさくさに紛れて抱きしめてしまおうか?

いや、流石に…ならば起こして教えてやるべきか。

と、逡巡する間に



ちゅ



「っ!」

「すごく、リアルな夢……」


唇が触れ合ったままそう口にしたナナバは、じわりと広がる温かさにまたゆっくりと瞼を開いた。


「…!?…ぇ、何で…
 う、そ、………っ!」


今、ナナバの目の前にいるのは…、紛れもなく生身のエルヴィン。


「やはり…、まだ半分寝ていたね」


指先で頬を撫でられ、いよいよ夢でないと気付いたナナバは、慌てて体を離せば布団を頭まで引き上げる。


(まってまってまって、何?何なの?何で?だって、今、夢……)

(…夢じゃ、ないの?!)

(帰ってきた?だって明後日じゃ…!でもいる…、っ!)


そして探るように、ゆっくりと鼻から上だけを出し上目使いでエルヴィンを迎え入れた。


「…あの、お、お帰り…」

「あぁ、ただいま」


これもまた、いつか見た姿。

そんな可愛らしいナナバにエルヴィンは微笑み、シーツの上から優しく肩を撫でた。


「ん…、早かった、ね。お疲れ様」


その手はゆっくりと腰へ。


「まさか、こんな……」

「エルヴィン…?」


…ナナバの声は届いているのだろうか?

『お疲れ様』と言えば、必ずと言っていい程『ありがとう』と返ってくるのに、それがない。


「どうしたの…?」


届いた手は、確かめるように腰周りをゆっくりゆっくり撫でる。



その表情には、彼にしては珍しく、驚きとほんの少しの困惑が入り混じっていた。






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