第14章 たまにはいいだろ?
「…ぷはっ、もう!エルヴィン!
いきなり何を!」
運動するって言ったのに、どうしてそれがキスになるわけ?!
「嫌かい?」
「そうじゃない。
そうじゃなくて…
なんで、ここ、で…」
こんな時間にこんな場所で。
誰もいないから、当然見られる心配もない。
それでもやっぱり恥ずかしい。だってそうでしょ?遮るものなんて何もないんだから。私たちを隠してくれるものなんて何もないんだから。
「ナナバ、キスだけじゃない。
最後までするんだ。いい天気だからね」
「は、え?」
「…"運動"だよ。
たまにはいいだろ?」
ぞくりと背筋が震えた気がした。
だって、エルヴィンが獣のような目をしてるから。ううん、怖くはない。なんていうのかな、とても力強くて澄んでいて、それでいて…色っぽい。
そう、シてる時によく見せてくれる顔。
私はもう抵抗なんてできなかった。あ、抵抗っていってもしたくないからじゃないよ?その何ていうか…いつもちょっとだけ恥ずかしくて。だからつい、待って、なんて言ってしまう。つまるところ照れ隠しです……。エルヴィンにはもうとっくにバレてるんだけどね。
「ぅん、エルヴィン…、ちゅ」
「ナナバ…、んっ…」
寝転がる私に覆い被さるようにしてキスをくれるエルヴィン。右手で体重を支えながら、左手でいつもみたいに私の服を脱がせる。私も、抱き締めていた両手でエルヴィンのベルトを緩めシャツを引き出す。
直接触れるエルヴィンは、傷だらけ。
いつだったか、痛くない?古傷って時々痛むよね。と言ったら『君が触れてくれると治る』って。私ずっと覚えてるよ?だからこうやって手のひらをいっぱいに広げて撫でるんだ。どうかエルヴィンが痛くありませんように。体も、心も、どうか…痛さを越えて、気持ちよくなってくれますように。
「はっ、はぁ、はぁ…、…ん…、あっ!」
「ここ、好きだろ?」
キスの間にシャツは捲られ、露になった下着の上から乳首をきゅっと摘ままれる。
そのままくりくりと弄ったかと思えば、太い指が下着の縁から入り込んできた。見えるだけずらしては、ちゅうと吸い付く湿った唇。
「あっ!」
全身を貫いた快感に、勝手に背中が仰け反った。できた隙間に滑り込むエルヴィンの大きな手。指先が微かに動き密着していた下着から私の体は解放される。