第13章 たまにはいいでしょ?
腹の上で拘束される両手、馬乗りになって俺にキスをしてくれる君。
そう、キスだ。いつもなら撫でるように唇を触れあわせては暫く啄むようなキスを堪能する。
俺は君にお伺いを立てるため。
君は恥ずかしさに慣れるため。
そうやって準備ができたら、君は遠慮がちにその入り口を開いてくれる。そうして俺はやっと奥まで行かれるんだ。あぁ、誤解しないでくれ"やっと"というのは待ち望んだという意味だ。決してやれやれといった類いの感情じゃない。
それが、今は、いきなり。
しかも彼女からいきなり、奥へ。
強引にも思える舌使いに一気に熱が高まり、完全に出来上がってしまった…
「…っ、はぁ、はぁ、っは」
「ごめん、下手だったでしょ」
そう言いながら手早く俺のシャツのボタンを外し、そっと手のひらを這わせる。
「そんなこと、ない…あっ!」
乳首を軽くつままれただけなのに、思わず声が出てしまった。なんて情けない声だ。
「ふ…、っ…、ナナバ」
「ふふ、可愛い」
細い指先からは思いの外早く解放された。…本当はもっとしてほしい…なんて、口には出せない。そうか、君はこんなにも恥ずかしかったのか。されてみて初めて分かったよ。でもごめん、多分またしてしまうと思う。だって可愛いんだ、いやいやと首を振る仕種も、声を漏らさぬようにと我慢するその顔も。
「今日はこのままここで過ごそうよ」
もうベルトを外されているから、簡単に前を開かされてしまった。
「っ!!」
「ね、どう?
たまにはいいでしょ?」
下着越しに握られそれを我慢するだけで精一杯なのに、ゆっくりゆっくり、上下に…
「ナナバっ…!」
「今日は、
私と一緒に、
ここで過ごしてくれる?」
一語一句区切りながら、まるで小さな子供に言い聞かせるように聞いてくる彼女に、俺はただ頷くことしか出来なかった。
だって、もう限界なんだ。もう爆発しそうで。
もしまたキスをされたら…
もしまた乳首を摘ままれたら…
そう想像するだけでさらにまた一段、高まる。早く解放されたい。いや、このままはだめだ。このまま出すのは嫌だ。
君の中でなきゃ…
「はぁ、っ、ナナバ、このまま、ここで」
「うん。有り難うエルヴィン」
俺の頬に、触れるだけのキスを一つ。握っていた手をほどいた君は目をそらさずに膝立ちになる。