第1章 君の初めてで慰めて
「はぁ、んん…、んっ!あっ、あぁ!」
「…ん、我慢、しなくていい。怖がらなくていい…。そのまま全部、任せて」
「はぁっ…、あん!も、ぅ、だめ、っ、ほんとに、変だ、よ…、ぁ、あぁっ!」
ぎり、と形のよい爪が鍛え上げられた背へと食い込み、とうとう、その瞬間が訪れる。
「あっ、あっ、あぁぁあああっ!!!」
「…くっ!」
一気に締まり、まるで食い千切られるのではないかと錯覚する程の快感に襲われる。
エウルヴィンは寸でのところで自身を引き抜くと、そのままナナバの下腹部へと白濁した欲を放った。
「…っ、はぁ、はぁ、…ぅ、ん、はぁ、…ん、…はっ、ふぅ…」
「…ナナバ、大丈夫か?」
「ん…、だいじょぶ……」
行為が初めてだとしても、知識はある。
下腹部から秘所にかけて垂れる、白く粘りけのあるそれ。そして、全身で感じる倦怠感。
エルヴィンが、いや…彼と自身が絶頂を迎えたのだと、ナナバは予想をつけた。
「その…、今の……」
「ん?」
「…私、おかしくなかった…?」
エルヴィンはそこを優しく丁寧に拭ってやりながら訊ねる。
「どうしてそう思う?」
「んっ、だって、したことない…から…」
くすぐったいのか、僅かに体を捩るナナバ。
だが、抵抗はしない。エルヴィンの手に全てを委ねている。
「そうだな、おかしくはないよ」
「…"は"って、やっぱり、普通じゃないってこと…」
「あぁ、普通じゃない。とても、可愛らしかった…とてもね」
"その瞬間"のナナバを思い出しているのだろう。エルヴィンは目を閉じ、一つ、熱の篭った息を吐く。
「っ!?何、言って…!」
「可愛いではご不満かな?そうだな、他に表現するなら…、とても厭らしい、とか…?」
ほら…と、タオルで拭った二人のそれを軽く撫でてみせる。
「っ、ば、馬鹿!変態!」
「いや、至極真面目なんだが…」
あぁ、そうだ…、真面目で思い出した。とエルヴィンが呟けば、ナナバは数度瞬きをして何?と聞き返す。
「その、順番が逆になってしまったが…」
そこまで言い、エルヴィンは不安そうに口を噤む。
「順番?逆…?」
ナナバは見当もつかないといった表情でエルヴィンを見つめる。