第10章 ありふれた日常を
「君が謝ることはない。
本当にごめん…君が特別なだけなんだ…」
でもきっと、それだけじゃない。
好きだったり嫌いだったり。
怒ったり怒られたり。
愛したり愛されたり。
離れたり近付いたり。
出会って、…別れて。
そしてまた、出会う。
そんな事を繰り返していく。
何故なら、三人の時間はこれから先たっぷりあるから。
大きなことから小さなことまで。
沢山のいろいろな事が起こり、それらは全て大切な思い出になるに違いない。
「……えいっ」
「「!?」」
ナナバが愛娘ごと、エルヴィンを抱き締める。
「二人とも…
私の家族になってくれて、有り難う」
「ママ…!大好き!」
「ほんとに?ありがとう。
ママも同じ、だよ」
「……あの、パパはどうでしょう…?」
「パパ…」
(どきどき……)
「大好き!!」
「あぁ…!!
ありがとう、パパも君が大好きだ…!」
「私は?」
「勿論、大好きだよ、ナナバ。
俺の可愛い奥さん」
(有り難う、二人とも。
この先何が起こっても、俺は、君達を守ってみせるよ。大切な君達を…必ず。必ずだ…)
だから、どうか、側に。
いつまでも、側に。
愛する人と共にあれ、と願いを込めて。
fin