第8章 1014
やっとできた。
結局、不慣れなせいもあって当日になっちゃったけど、間に合ってよかった。
喜んでくれる、かな?
………
……
…
相変わらず、エルヴィンの部屋は綺麗に整理整頓されてるね。片付けのコツ教えてもらいたいくらい。
って、今はこっちだ。
「あの、エルヴィン、これ…」
一応、形にはなってると思う。
「これは、もしかして、もしかすると…?」
「うん。おめでとう、誕生日のプレゼント」
時期的にはちょっと早いかなって思ったんだけど、カリンとペトラに聞いてみたら『大丈夫』って太鼓判くれたから大丈夫。だと思いたい。
「開けてみてもいいかな?」
う…直に見られるの、恥ずかしいな…
でも、教えてもらいながら作ったからそれ程おかしくはない。はず。
『ナナバさんお上手です!』
『ほんとね。心配しないで?団長も喜んでくださるわ』
って、先生役である二人には、これまた太鼓判をもらってる。
んだけど…
「気に入らなかったら、捨ててくれていいから!」
それでも心配で。
恥ずかしいのもあったから…
つい、誤魔化すように出てしまった一言。
無意識だったんだ。
そんなつもり…なかったのに…
この一言に、一瞬で空気が冷えた。
「ナナバ」
「…っ」
エルヴィン、怒ってる…?
「逆だったら…君へのプレゼントで私がそう言ったら、君は捨てるのか?」
まさか、そんなこと…!
「するわけないでしょ!?」
「だったら余計なことは考えなくていい。君が恥ずかしいのはよく分かる、だが言ってはいけない事もあるんだよ」
「…っ、ごめん…」
「どれだけこの時を楽しみにしていたか…
だから、そんな悲しい事は言わないでくれ」
そう言って抱きしめてくれたエルヴィン。
すごくあったかい…
「ごめん。
本当は、ずっと持っててほしい。ずっと」
「あぁ、勿論だ。
君からのプレゼント、大事にするよ」
エルヴィンの誕生日なのに、私がプレゼントを貰っちゃったような気がしなくもない。
だって今、すごく幸せ。