第8章 1014
もうすぐ。もうすぐだ。
こんなにも待ち遠しいと思ったことはあっただろうか?
少なくとも、はっきりと思いだせる記憶の中にはない。
でも今は違う。
早くその日がこないかと、暇さえあればカレンダーを見る毎日。
そしてその度に、指折り数えてしまうんだ。
…君の言葉は、まるで魔法みたいだね。
『ほしいもの、ある?』
一ヶ月程前、そう聞かれてはいつもの調子で『君かな』と答えた。
勿論、からかっているつもりなどない。
あ、いや…
そのつもりはないが、そう見えてしまうかもしれない。
なにしろ、顔を真っ赤にする君が可愛くて。
つい、ね?
仕方ないじゃないか、そんな君を何度でも見たいんだから。
『…っ、どうしてまた、そういうことを!』
ほら、可愛い。
…口に出しては言わないが。
『もう、笑ってないで!!
……それで、何がいいの?』
すこし頬を膨らませて、睨んでくる。
恥ずかしいのを誤魔化しているのがよくわかるよ。
しかし、これ以上困らせるのは流石に申し訳ないな…
『そうだな…普段使いできるもの、かな』
『ん、わかった』
あれ以来、毎日楽しみで仕方ない。
何をくれるんだろう?
勿論、君から貰えるなら、何だって嬉しい。
あぁ、でも、それだけじゃない。
当然…、ナナバ、"君"も貰うよ?
だからコレを用意した。
はたして、受け入れてもらえるだろうか…
いや、弱気になっていてはだめだ。
俺は、君が欲しい。