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まったりの向こう側

第7章 怪しいお薬


コンコン


『はぁい!どうぞ~!』


「失礼します…」


「おや、ナナバ。いらっしゃい!」


扉の隙間から覗き込んだハンジの執務室は、何時来ても混沌としている。
だが、今日は珍しく床の一部が見えている為、いつもより幾分かましに見えた。

その功労者、部屋の隅で資料整理をしていたモブリットが来訪者に気付き顔を上げる。


「お疲れ様、モブリット」


「ありがとう。……何かあった?」


ここで見かけることの少ないナナバに驚いたのか、モブリットはほんの少し心配そうに尋ねる。


「うん。ハンジ分隊長に少し相談が」


「ご指名!?嬉しいな~~~!
 さ、座って座って」


「お、お邪魔します…」


部屋の主とその副官は座らないのだろう。座面が全く見えないソファーに悪戦苦闘しつつ、何とか座れるだけのスペースを確保する。


「夕飯前にごめん」


「だいじょぶだいじょぶ~!
 で、で、相談って?」


「その……」



「分隊長、この資料戻してきますね」


言い淀むナナバに、モブリットはさりげなく席をはずそうとする。


「あ、もし迷惑でなければ…モブリットも相談に乗ってくれないかな」


瞬間驚き、すぐさま優しげな笑顔で頷いた彼の様子に安堵し、ナナバは事の仔細を伝える。









「…で、どうにか言える方法が無いかと。二人にアドバイスをいただきたく…」


「それは構わないけど、ナナバ、無理はしてない?」


「へ?」


「エルヴィンは無理してまで言ってほしくないと思う。だからね、確認」


隣ではモブリットが頷いている。


「大丈夫、無理してないよ。ただちょっと…」


「ちょっと?」


「…恥ずかしいのが、どうにもならなくて…」


俯き、顔を赤くしてぽそぽそと答える。




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