第7章 怪しいお薬

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「ふむ。確かに、言われては、いない」



「……そう、なんですね…ふふ」


「どうした？何かおかしいか？」


「失礼を承知で申し上げます」


「あぁ」


「私、団長に勝てました。勝てる要素がありました」


「…なに？」


「先日ナナバさんから御指南を受けまして。その事に関して"頑張り屋さんだね、そういう子って好きだな"と言われたんです」


先程より一層頬を染め、エルヴィンを射ぬくように見つめる。


「私、団長も言われていない事を言われました」


「そうか、それはよかったな…だが、言われていないからといって、何か不足があるわけではないよ？」


大人げないだろうか。
だが、ことナナバに関しては手を抜けない。
例え相手が誰であろうと…


「現状に、一切不満はない。
　むしろとても満足しているんだ。
　…彼女は態度で示してくれるからね」


それを受けることが出来るのは自分だけ。
そう付け加えるのも忘れない。


「それに…」


「それに？」


「ナナバと私にしか出来ない、いろいろな事が沢山ある。そう…イロイロだよ」


「…いやらしい顔ですね」


「ふ。羨ましいかい？
　だが、私だけ。…そう、私だけだ」

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「はぁ……」


ティーカップを持つ分隊長の目の前で、その上司が項垂れている。


「大人げないだろう？だがどうにも口が止まらなくて…」


「そ、そうか…」
(驚いた～～～！！！ナナバってば人気者だ)
(ってか、途中から話の本質がすり替わってた気がするんだけどな。要するに今聞かされたのって惚気？かな？だよね？)


「はぁ……」


(だめだ、私まで脱線するところだった)
「うん、で、全然不満はないよってとこをナナバは聞いてないってことか」


「あの様子だと、きっとそうだろう」


「ふむふむ…
　それさ、早く言った方がよくない？
　エルヴィンがその、悪者になってない？平気？」


その一言に、エルヴィンの表情が引き締まる。


「いや、これは言えない…言わない方がいい」

「そうなの？誤解解いた方がいいと思うんだけど」

「言ってしまえば、ナナバはまた気落ちするだろう」

「あぁ～…確かに」