第7章 怪しいお薬
後日談 壱 ***あの日の続き***
団長室にて。
執務机を挟み、提出された書類に目を通すエルヴィンとその決裁を待つハンジ。
「これならば問題ない。近いうちに手配しよう」
「よかった~。それじゃ、よろしくね」
「あぁ。…ところで、ハンジ」
「ん?何?」
「すまなかった」
エルヴィンは椅子から立ち上がり、いつぞやのハンジと同じに腰を折る。
「え、ちょっと、何?どうしたの!
私謝られることしてないよ?
あれ逆?あれあれ?」
「…事の発端は、私だったんだ」
「へ?発端?
って、いやま、とりあえず頭あげて?
それから詳しく聞かせてよ。
ただし、普通にね」
「あぁ」
ややあってハンジと向き合ったエルヴィン。
そのまま茶器を取り、慣れた手付きで紅茶を淹れる。
「ありがと。
で、発端って、この間の事?」
「……ナナバに勘違いをさせてしまったんだ」
「勘違い…
エルヴィンが「ナナバから『好き』とは言われていない」って言ってたのを偶然聞いてしまった
というのを、私はナナバから聞いたんだけど…もしかして続きがある、とか?」
「……その通りだ」
エルヴィンにしては珍しく萎れたような声で、ぽつりぽつりと語り出す。