第7章 怪しいお薬
「ん……」
「おはよう、ナナバ」
「おはよう…エルヴィン…」
(あれ、いつの間に寝ちゃってたんだろ…)
ナナバが気付いた時には、既に太陽が顔を覗かせ始めていた。
「体調はどうかな?辛くない?」
「大丈夫、ありがとう。
聞いていたよりも早く抜けたのかな?」
「そうかもしれないな」
髪を整え、着替えも済ませ、今日の予定を確認するエルヴィン。
ナナバはといえば、念の為と今日一日休みを言い渡され、ゆるりとベッドで寛ぐ。
『おはよー!二人とも起きてる?』
「ハンジか。ナナバ、大丈夫か?」
「うん」
静かに扉を引けば、その向こうではトレーを持ったハンジが立っていた。
「これ、スープだけ貰ってきたよ。余計なお世話かなーとも思ったんだけどさ…冷めても美味しいっていってたから、よかったら後でどーぞ!」
「あぁ、有り難くいただこう」
「ハンジ、おはよう。
記録の続きするよね?」
「!! それは、まぁ、何て言うか…」
記録と言われ、ハンジがそわそわし出す。
しかし、好奇心とは別の何かがストップをかけているようで、ナナバとエルヴィンの顔をちらちらと見比べては口ごもる。
「…あ、いや、やめとこう、うん。
流石に悪いよ。ウン。
(エルヴィンは…何?自慢したいのかな?今のナナバの姿をさ…!)
ナナバはエルヴィンのシャツを着ている。
…シャツだけを。
(あぁぁ、脚長い!というか目のやり場に困る、ほんと困る!)
と、珍しく慌てるハンジへ救世主が。
「ナナバがいいなら、構わない。
約束したんだろう?」
「うん。私はいいよ」
「そ、それじゃ遠慮なく…
ナニがどうだったとかは聞かないから!
あくまでも研究の為、医学的見地からの!」
「落ち着け。そこまで疑っていない」
「そ、そうか。
ありがとうエルヴィン。それじゃ、早速」
ナナバの隣へぴたりとくっついて座るハンジ。昨日も持っていた手帳の新しいページを開き、そっと耳打ちする。
「…で、ナナバ、昨夜はどうだったの?…」
「…実は、気持ち良すぎてあまり覚えてない…」
「…なるほど、良すぎて…。薬はうまくできてたってことかな…」
「…うん、間違いなく…」
エルヴィンには聞こえないよう、言葉を交わす度お互いの耳元へと唇を寄せる。