第7章 怪しいお薬
それは、少し前にハンジと交わした内緒話。
『エルヴィンとHしたいと思う?どう?』
『それは、その、シたいとは思うけど、我慢してる…したかったのは、それじゃないから』
『そっか。君は強いね』
催淫剤。そういった目的の為に作られた薬。そんな気分になるのは当然だろう。
だがナナバは耐えていた。
決してスる目的で飲んだ訳ではなかったから。
(はぁ…、まずい……)
思い出せば、すっかり気が逸れていた自身の体温に今また体が疼く。エルヴィンはきっとこれを鎮めようとしてくれているに違いない。
「…気付いてるんでしょ…?」
「さぁ?何の事だろう…?
悪いが、心当たりがないな…」
言いながらナナバのシャツの裾をそっと捲る。
「部屋で君を見た瞬間、決めたんだ。今夜君を抱くと。…まさかこんな事になっているとは、夢にも思わなかったが」
そう…
決めた時には薬の事など知るはずもなかった。
だから薬なぞ、関係ない。
「よっと、はい手を上げて。ばんざーい」
「!?」
「ナナバ?」
「し、しない!しないから!
そんな子供みたいな事!」
ニッコリ
エルヴィンは何も言わず、ただ微笑む。
時たま見せる、有無を言わせぬ笑顔だ。
「…っ、変態…!」
「よしよし、いい子だ。
さて今日はどんな……おや、これは」
「っ、あんまり、じっくり見ないで」
「ごめん。でも似合ってるよ。
だからもう少しだけ、見せて?」
ほんの少し睨みつつ、それでもナナバは素直に従う。ベッドに上がれば後ろ手にシーツを握り体重を掛ける。ほんの少し背が反れ、胸を突きだしているような姿勢。
(まったく…無自覚でこうも煽ってくるとは)
心の中だけで舌舐めずりすれば、まずはじっくりと下着姿を堪能する。
「可愛いね。自分で選んだのかい?」
ナナバは小さく小さく頷く。
パステルイエローにオレンジの縁取りはどこか向日葵を思わせる配色。実に健康的な色気が漂う。
「君はセンスがいいんだな。
今度、俺のも選んでくれないか?」
「!? しない!絶、対、にしない!!」
「そうか、残念だ…今日は諦めるとしよう。
今はこっちの方が大事だしね」
と、エルヴィンは可愛らしいブラジャーの上から直ぐ様お目当てを探り当てた。
「ほら、ここにあるよ。さくらんぼ」
「!!」