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まったりの向こう側

第7章 怪しいお薬





「ふんふんふ~ん♪」

ご機嫌で鼻歌を響かせるのは、兵団切っての変わり者ハンジ・ゾエ。


「ふふん、ふんふんふん~♪」

(むふふふふ…もうちょっとで完成だ!)

堪えきれない思い出し笑いと共に、摩訶不思議な鼻歌は続く。


「ふふん、ふふん、んふ~ん♪」

(楽しいなぁ~♪でも…でもさ……)

(何でこんなに楽しいのに、誰も話を聞いてくれないのかな?!何でかな?!)


それはもう、言わずもがなである。
が、本人にその自覚がない為毎度誰かを捕まえようとしては逃げられている。

今日もそうだった。もうそろそろ西日が差しそうな時間だが、朝から誰一人として捕まらない。


(皆逃げるのがうまくなってるねぇ…って関心してる場合じゃない)


(もうこうなったら…いっそ人間じゃなくても!そこらにいる鳥とかカブトムシでもいいよ!今すぐ話したい~聞かせたい~~~!!!)


そう考えを巡らせつつ、きょろきょろと辺りを見回しながら歩く。勿論、話して聞かせる相手を見付けるために。

(ん…?)

ふと、気配を感じた。
これは間違いなく…人間。


「やぁやぁやぁ!
 君ちょっといいかな?いいよね!?」

「!?」

「あ、れ、ナナバ…」


人気の無い倉庫裏。
ようやっと掴んだ手応えに、喜び勇んで飛び出した先で見たのは、蹲り、赤く目を腫らした彼女の姿。


「ちょ、どうしたの!」

「何でも、ないよ」


そう言いながら、立てた膝に顔を埋める。


「いやいやいや、そんな事ないだろ!?
 何があったんだい!?」


顔を伏せたまま、反応がない。


「……ごめん、大きな声出して」


そう言いながら、ナナバの隣に腰をおろす。


「ね、私でよければさ、聞かせてくれないかな?」


ハンジも同じように膝を立て『こう見えて肝心なところでは口が堅いんだよ!』と鼻息荒くアピールしてみせた。


「肝心なところって……ぷっ、はは」

「えぇ~信用されてない?おかしいなぁ…」

「ううん、そんなことないよ。
 ありがとう、ハンジ」




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