第1章 君の初めてで慰めて
「…怖がらせたくはない。だが、嘘も吐けない」
今すぐにでも、抱きしめたい。
「だから、はっきり言おう」
広いベッドの上、真新しいシーツに縫いつけ、その全てを…貪りたい。
「ここにいれば、確実に君を抱く」
空を背に勇ましく飛ぶ君は、俺の腕の中では一体どんな姿を見せてくれるのだろう?
「どんなに嫌がってもだ。そうはなりたくないだろう…?」
知りたい。教えてほしい。君の全てを。
エルヴィンの熱は高まり、もう限界を超えている。
これ以上は何も言うな。言ってくれるな。
そんな願いを込め、突き放すように乱暴な言葉を紡いだ。
「…ここに、いて」
振り返ったエルヴィンが見たのは、迷いなく自分を見つめるナナバの瞳。
そこには先程まで流していた涙が残り、扉から入り込む明かりを受け控えめに、だが宝石のように輝いている。
「!?」
それは一瞬の出来事だった。
一度に距離をつめたエルヴィンはナナバをその腕に閉じ込め、深く口付ける。
「ん!」
奥の、奥まで。
男の肉厚な舌が女の柔らかな舌を絡めとり、声はおろか呼吸すら奪っていく。
「んっ、んん!」
「…ん、ちゅ。柔らかい…」
エルヴィンは強引に舌を絡め続け、呼吸の合間には唇を食む。
「それに、唇も、舌も、唾液も…、何もかも甘い…。……もっと…、ん、ちゅ…」
「待って、ん!お願い…、んん!」
翻弄、とはこのことをいうのだろう。
「…んっ、待っ、て、んんっ!」
何もかもがエルヴィンのペースに呑まれていく…そんな気がしてくる。
「ん…、はっ、はぁ、んぅっ!…んっ」
(も、だめ…、足、力入らない…)
いや、足だけではない。全身の力が抜けていくようだ。
ナナバはエルヴィンの広い背中に腕を回すと、弱々しく叩く。
苦しい。
…恥ずかしい。