第1章 アンタが欲しい【真澄】
「…監督。ちょっと待ってて」
そう言って
ポケットの中に忍ばせていたらしい
小袋の封を切り、取り出した中身を
器用に装着しはじめる、真澄くん。
『そ、それ…持ってたんだ…?』
「当たり前。いつ、アンタに
誘われてもいいように 常備してる」
『…あ…、あはは…』
足の間に身体を割り入れられ
腰を引き寄せられると
今までとは違った 緊張感に襲われる。
「…いづみ…。好き…」
手の甲で頬を撫でられながら
ふいに名前を呼ばれると
胸がキュッと締め付けられて。
『っ…急に名前呼ぶの…、反則だよ…』
「じゃあ、アンタも呼んで」
両手でそっと
真澄くんの頬を包み込む。
『…真澄…くん…』
「もっと…」
『…真澄くん…。…真澄くん…』
誰よりも私のことを
想ってくれる、愛おしい人…。