第3章 夜の密会【万里】
「…やっぱ、ダメ?」
強い力で手を握られ
"その意味"をやっと理解した私は
首を左右に振って答えるも
万里くんの方を見ないように
自身の手元に目線を落とす。
『…ダメじゃ、ないよ…』
本当に…、私でいいのかなって
時々、不安になってしまう。
カッコいい上に、何でも出来て…
学校でも 沢山の女の子の
目に留まっているはずなのに。
「…監督ちゃん」
『…わっ…!』
握られていた手を引かれ
身体のバランスが崩れる。
そして、気づいた時には…
唇が触れ合う寸前まで
顔の距離が近づいていた。
「…なに考えてんのか知んねーけど。
俺にとって 監督ちゃんは…
他の誰よりも"特別な存在"だって思ってる」
『…うん…』
私の方が年上なのに…
大人の余裕なんて
これっぽっちも無いけれど…。