第2章 学校へ行こう
ある日突然、摩訶不思議な現象に遭遇してしまった。
恐怖で気を失い、気がついた森の中で、私は一人の男性と出会った。
古くから続く呉服屋の若旦那で、この地域でトップクラスの異界士を排出して来た名家、林家の当主、林創一郎である。
「ひとまず、私の屋敷へ行きましょう」
半ばパニックに陥る私を気遣い、招き入れてくれた彼の屋敷で、記憶している限りの事を話した。
「なるほど……つまり、あなたは成人式を終えてる立派な社会人で、仕事帰りの電車の中、奇妙な生き物と遭遇し、気がつけばあそこに倒れて居たと…」
『はい…』
柔らかで優しそうだった彼の表情は、神妙な面持ちにかわり、到底すぐには受け止めきれない真実を語る。
「…あなたの話を聞く限り、ここはあなたの知っている世界ではありません…」