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一人だけど、独りじゃない

第3章 部活に入ろう


教室からひょっこりと顔を出した栗山未来が目にしたのは、女子生徒を羽交い締めにしている先輩男子生徒だった。

その後、栗山さんのリアクションに、心配になり出てきた神原秋人が騒ぎ、博臣の「入部希望者だ」の一言に否定をする間も無く、あれよあれよと部室に入れられ、現在、圧迫面接並みに在音を囲うように座っている文芸部一同。
目の前には昨日知り合った名瀬美月が静かに座っている。

「林 在音さんだっけ?一先ずは文芸部員にようこそ!」
『いや、まだ入部すると言ったわけでは…』
「他に入部したい部活でもあるの?」
『いや、そういうわけでは…』

秋人の質問に少し口ごもる在音。

流石に初対面の人に、同じ部員の先輩が変態だから関わりたくない何ていえやしない…ましてや実の妹の前で兄を変態呼ばわり何て…!!!

本音を言えずに、どう回避しようかと考えていると、ちゃっかり隣をキープしていた残念なイケメン事、博臣が在音の顔を覗き込む

「なら問題無いだろう?何故そこまで頑なに否定する?」
『あんたと同じ部活なのが問題なんだよっ!!』
「何が問題なんだ?頼れる兄的存在が居るんだぞ?心強いだろう?」
『どこが心強いだ!逆だ逆!!』
「照れるな照れるな」
『照れてねーよ!!』

博臣の言葉に綺麗に突っ込みを入れる在音。
そして、そんな突っ込みに嬉しそうに笑う博臣。

「どういうことだ…美月にしか過剰反応しなかった博臣のシスコンセンサーが、がっつり反応している…」
「はい、あんな反応を美月先輩の他にしている先輩は見たことありません」

博臣の反応にひそひそと話し出す栗山さんと秋人。
そして、周りが騒がしい中、静かに博臣と在音のやりとりを見つめる美月。

…中々面白い展開じゃない。

「美月としてはどう思う?」
「そうねぇ…あの変態兄貴が他の人間に興味を持ってくれるのは良い事だわ!」
「…お前、丁のいい厄介払いが見つかったと思ってるだろ?」
「まさか…」

不敵に小さく微笑むと、目の前で今だに言い合ってる博臣と在音を見る。
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