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一人だけど、独りじゃない

第3章 部活に入ろう


敵に背を向けてはいけない。
どこかでそんな言葉がこだまする。
若返った瞬発力と、持ち前の運動神経の良さも虚しく、後ろから羽交い締めにされる在音。

「…軽いな。ちゃんと食べているのか?」

元々背が高い方ではなく、本人曰く中の下な身長の在音を、180近くある長身の博臣が、後ろから羽交い締めをし、更に持ち上げるわけだから、自然と宙に浮く足。
10cmは浮いている。

何これ悔しい…!!

ぷらん、と浮く足を見つめる。

「そんな事では季節の変わり目に風邪をひいてしまうぞ?在音」
『?!はーなーせーーー!!!!!!』

耳元で囁く様に言われ、赤面しながらもとっ捕まった野良猫の様にジタバタと暴れる

膝だ!膝を狙うんだっ!!!

どっかの漫画で、長身の人間を相手にする時は膝を狙えばいいと、かいてあったのを思い出し、かかとで膝を狙うが全て見事にかわされていた。

『なんなんですか?!セクハラですよ!!!訴えて社会から死んでもらいますよ?!』
「可愛い義理の妹にそんなことを言われるなんて侵害だな」
『誰がいつあんたの妹になりましたか?!てか義理の妹はもはや他人です!!!!!』
「何をいう、義理でも妹という絆が生まれた今、他人ではあるまい」
『絆いっっっさい生まれてないし!!!』
「はははっ照れて居るのか?可愛いやつめ」
『怖いよ?!脳内展開読めなさ過ぎて恐怖感じるよ!!!!』

ジタバタと暴れながら、博臣から放たれるパラレルワールド並みの超展開につっこみを入れる在音
博臣はそんな在音を御構い無しに羽交い締めにしながら足を進める

「まぁまぁ、落ち着け在音」
『この状況で落ち着いてられるかっっ?!』
「そんな事より、部活にはもう入ったのか?」
『そんな事って…この状況をそんな事でかたずけられるか?!』
「仕方がないだろう?逃げるし」
『当たり前だろ?!突然変態が現れたら誰だって逃げるだろ?!』
「で、どうなんだ?」
『入って無いよ!!!答えたから放せー!!!』

平然と在音を羽交い締めにしたまま階段を降り、廊下を歩きとある部屋の前で止まるのと同時に、返事を聞きとてもいい笑顔を浮かべる

「そうか、そうか。では文芸部に入りなさい」
『は?』

ガラッ

「っ?!な、何事ですか…?」
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