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一人だけど、独りじゃない

第3章 部活に入ろう


どのくらい経っただろう?
いつの間にか寝こけて居た事に気付き、そろそろ起きなくてはとゆっくりと目を開ける。

……ん?

寝ぼけた視界に映る自分の手と……その手が握っている大きな手。

………はい?

思わず思考がフリーズし、自分が握っている手をたどると、一人の男子学生に行き着いた。

「起きたか。」

耳障りのいい、男性特有の低い声とともに、文庫本に落とされていた視線がこちらに向けられる。
整った綺麗な顔立ちと、サラサラの艶やかな黒髪に目が奪われた。

「かなり熟睡をして居た様だが、あまり無防備に寝入るのはどうかと思うが?」

くすり、と笑いながら言う男子学生に意識が呼び戻され、色々と自覚をする。

『わわっっごめんなさい!』

驚きのあまり、とっさに正座をして謝る在音
ほんの少しの居眠り程度の予定が、がっつり寝ていた自分に、急激に顔が熱くなるのが解る。

「ふっ…まぁ、いいさ。林 在音さん?」
『え?…どうして私の名前…?』

不意に、まだ名乗っていない自分の名前を、見知らぬ男子高生に呼ばれ、少し顔がこわばる。
ネクタイの色を見る限り、上級生だろう。

「名瀬 博臣だ」
『あ…泉さんの』

名瀬と聞きこわばった表情が和らぐ。

「泉姉さんと面識があるんだな」
『あ、はい。こっ……一度、林の家にいらした際、創一郎兄さんに紹介して頂きました( ´∀`*;)>」

危ない危ない、思わずこっちに来た時って言いそうになった…

誤魔化すために、あははっと笑いながら言う在音、そんな照れ笑いの様な在音をガン見する博臣

「………すまんが、今のもう一度言ってもらえるか…?」
『え?』

心なしか声が震えて居る様に聞こえる。

まずったかな…?

『えっと…一度、林の家に「違う」

『へ?( ゜Д゜)』
「その後だ」

真剣な眼差しで見つめられ、詰め寄って来る博臣に、訳のわからない恐怖が押し寄せて来る…

何だこの子?何だこの子?!

『えと……創一郎兄さんに紹「そこをもう一度!!」
『ふぇあ?!』

全てを言い終わる前に、がっしりと肩を掴まれ、跳ね上がる動悸と一緒に間抜けな声が出る。



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