第6章 君の気持ち
「うわぁ...凄い」
訪れたのは都内の植物園。
春も過ぎて夏に近かったのもあって、花よりも緑が多かった。
女の子だし、花が綺麗な季節の方が良かったかな、と思ったけど、彼女は案外楽しんでくれたみたいだ。
「ふふ、優衣ちゃん、楽しい?」
「うん、とっても!」
正直、ボクは"デート"をしてるんだって意識してしまって、あんまり植物を見れてない。
それに...
「ちょっと、それは反則だよ...」
「?」
彼女の私服が、その、とても可愛かった。
胸元をリボンで飾ったオフホワイトのブラウスに、膝丈のミントのフレアスカートが上品で、見た瞬間可愛いって本音が出てしまった。
笑顔でありがとうと言った彼女が眩しくて、今日は本当に緊張しっぱなしだ...
「あ、不二くん、サボテンあるよ!」
「え、本当?どこ?」
「こっちこっち!」
もう、彼女がボクの言ったことを覚えてくれていたことだけでも嬉しい。
...本当に、重症みたいだ、ボク。