第3章 笑顔
沢山泣いて、彼女はスッキリした顔をしていた。
そして、恥ずかしそうに笑った。
彼女は聞く。
どうして自分にここまでしてくれるのか。
『君のことが好きだから、だよ』
まだ自分の気持ちを伝える勇気がないボクは、「君の笑顔が見たいから」と誤魔化した。
まぁこれも、なんで君の笑顔が見たいのかってことを考えるとバレてしまいそうな気もするけど、彼女は割と鈍感だから、気付かれた様子もなかった。
気付かれていないことに安心する反面、気付いてほしいと思う自分もいて。
「優衣ちゃんって、呼んでもいいかな?」
少し大胆なお願いも、今なら言えそうな、そんな気がした。
サラッといいよ、とだけ言われると思っていたら、案外君が顔を真っ赤にして照れるものだから、ボクの頑張りも、無駄じゃないなって思えた。
顔を真っ赤にして笑う君は、なんの憂いもないように見えて、ボクは少し泣きそうになった。
君の笑顔は、やっぱり可愛いや。