第3章 笑顔
そうして暫くした後、彼女は目を覚ました。
ボクがいた事に驚いて、そして、ボクが来たことで弟に自分がテニス関係のことを続けていることがバレてしまったことを気にしているようだった。
ああ、彼女の遠い日の記憶よ、どうか彼女を解放してあげて下さい。
もうボクは、彼女の辛い顔を見たくないんだ。
そう願った瞬間だったかは分からないけど、弟くんが階段を登ってくる音が聞こえた。
そこでボクは、すれ違っているこの姉弟を、互いを思って前に進めない姉弟を、ちゃんと理解し合えるように、狙って弟さんの話をした。
そうしたら彼女は泣いてしまったけど、ちゃんと2人で分かり合うことが出来たみたいだったから、ボクも少しは役に立てたかな。