第3章 笑顔
そうしてボクは、彼女の部屋に案内された。
正直、好きな子の部屋ってだけでとても緊張する。
...そう思っていたけど、苦しそうな彼女を見て、そうも言ってられなくなった。
赤い顔をして咳き込んでいる彼女は、夢に魘されている。弟くんが、よく悪夢を見ているようだ、と言っていた。優しすぎる彼女は、きっとまだ自分を許せていないのだろう。
そして...弟にも、もしかしたら許されないのかもしれない、と怯えている。
ボクはそっと彼女の手を握った。
「...大丈夫、ボクは、ずっと傍にいるよ」
もし君が、暗闇に独りぼっちになったとしても、君のことが好きなボクはキミを見つけ出して、きっと君を笑顔にしてみせる。
それくらい君が...
「好きだよ...」
ボクの告白は、静かな部屋の中に消えていった。