第3章 笑顔

「あの、テニス部って...姉ちゃん、テニスやってるんですか？」
「ん、てづ...優衣ちゃんに聞いてない？」
「はい、姉ちゃん、ある事があってからテニスに寄り付かなくなっちゃって...あんなに楽しそうにやっていたのに、勿体ないなあって」
「それは...弟の君に、遠慮をしてるんじゃないのかな」
「不二さん、でしたっけ。姉ちゃんに何があったのか知ってるんですね...。俺は、楽しそうにテニスをする姉ちゃんが好きなんです。やめてなんてほしくない」
「...それは、優衣ちゃんに言ってあげて。今、彼女はテニス部のマネージャーをやってくれているけど、やっぱり君に負い目は感じてるみたいだからさ」
「そうなんですね...不二さん、姉ちゃんをテニスに引き戻してくれてありがとうございます。これからも、姉ちゃんを宜しくお願いします」


なんだ、弟さん、全然君のこと、恨んでなんかないよ。
寧ろ、君にテニスを続けて欲しいと思ってる。

やっぱり弟さんも、いい子だなぁ。


「姉ちゃん、今は熱で寝てると思います。独りだと悪夢をよく見るようなので、不二さんが隣にいてくれると助かります」
「え、あ、うん、お安い御用だよ」