第3章 笑顔
「...不二さん、姉ちゃん、危なっかしい所もあるけど、優しい姉ちゃんだから、宜しくお願いします」
「え、あ、彰!?」
「うん、そのつもりだよ、彰くん」
「不二くんまで...」
そう言ってお茶を置いて、彰は出ていった。
「弟さんもいい子だね」
「恥ずかしいなぁ...こんな所見られて」
「ううん、手塚さんの傷が少しでもなくなったらいいなって思ってたから、良かったよ」
「不二くん...なんで、そこまでしてくれるの?」
「なんで、かぁ...そうだね、君の笑顔が見たいから、かな?」
「え...」
な、なんて恥ずかしいことをサラッと言うんだ...
今私の顔、真っ赤っかに決まってる!
「ね、だから笑って?」
「ふふ、不二くんも、意外とキザなこと言うんだ」
「うん?まぁ、そうだねぇ...キザついでに、お願い1つ、聞いてくれる?」
「ん、なに?」
お願い、なんて、可愛らしいことをいう人だ。
「優衣ちゃんって、呼んでもいいかな?」
「へ!?」
お、お願いって、それ!?
「はは、顔真っ赤」
「ふ、不二くんのせいだよ...」
「ね、いい?」
「あ、うん...いいよ?」
そう言うと彼はやった、と笑った。
その顔を見て私は少し心臓がドキリと鳴ったような気がした。