第3章 笑顔
「手塚さん、もしかして、弟さんにテニス部のマネージャーやってること隠してるの?」
「え、なんで分かるの?」
「いや、ね...色々、跡部に聞いたから」
「ああ、それで気にかけてくれてたの...ごめんね、ありがとう」
「いや、寧ろ勝手に聞いちゃってごめん...弟さんと、話、しないの?」
「......するのが、怖い」
もし、許さないって、私だけ好きなことを続けることを許さないって言われたら、私は今度こそ、一生テニスに関わらずに生きていくしかない。
そしてどうあっても、弟に恨まれながら生きていくしかない。
そんな現実を、突き付けられるのが怖い。
「弟さん、手塚さんのこと、恨んでなんかいないよ」
「え...」
「ボクがお邪魔したとき、弟さんが言ってた、姉ちゃんがテニス続けててよかった、姉ちゃんを宜しくお願いしますって」
「そ、んな、こと...?」
「うん、ね、弟さん?」
「え」
すると、彰が扉のすぐ側から顔を覗かせた。