第6章 能力と女神
「ありがとう、そんな風に思ってくれたこと、私はとても嬉しいわ」
華楓の固い決意に心を打たれた恋雪。
「じゃ、俺達はこれに付き合うってことだな」
大きな溜息をつきながら竜紀は言った。
「竜紀お前嫌なの?嫌なら俺と華楓で行くけど」
「一緒に行きますよーどうせ華楓放置するとろくなことないって知ってっから」
「はぁ?竜紀あんた何様だよ」
そして少しずつ戻るいつもの会話。
時計は14:30を示していた。
「とりあえず、今日は拠点に戻ってご飯にしようか。食材買っちゃってるし」
「だな」
「竜紀は少ししか食べられないけどな」
「あ!そうだった…」
そんな会話をしながら華楓達3人は喫茶店をあとにしようと席を立ち上がる。
「あっ華楓ちゃん」
「何ですか?」
「いざと言う時の私の連絡先、送っておくね!」
そう言いながら恋雪は指を鳴らしメニューを開きポンポンと慣れた手つきで操作していく。すると時間差で華楓のビジュアルに通知が出てきた。出てきた通知をタップするとそこには"KOYUKI"と書かれていた。
「そこから基本いつでもメールとか通話できるから、何かあったら連絡してね」
「ありがとうございます」
そうして3人は喫茶店をあとにした。
「女神に選ばれたのか…俺達」
喫茶店からの帰り道。恋雪の言葉を思い出し呟いている竜紀。
「正確には華楓が選ばれて、俺達は華楓のお供だ」
「良いだろ、お供でもなんでも選ばれたってことに変わりはねーだろ?」
その言葉にはぁとため息をつく陽二。
「そんなことはどうでもいいよ。肝心なのは何故私達がここにいるかよ」
二人の間を割って話し出した華楓。
「さっきの恋雪さんの話でどのようにしてこの世界に来るのかとかどうやって力を受け継ぐかもわかった。でも何故ここに呼ばれたのかは未だにわかってないんだよ」
「確かに言われてみれば…」
「今のところ最大の謎だな」
華楓に言われ、そういえばと気づく竜紀と陽二。
「だから女神に会ったらまず聞こう、なぜ私達がここにいるのか、なんで私たちじゃなきゃダメなのかを」