第6章 能力と女神
「私たちはそんな中、女神に選ばれたの…」
華楓は自分の存在価値とその置かれた状況に少なからず戸惑いがあった。
「恐らくね、そして竜紀と陽二は彼女のお供として呼ばれた」
「は!?お供!?」
大声で驚く竜紀。
「何で俺がこいつのお供なんだよ!」
「それは私の台詞だよアホ」
大声を出す竜紀に呆れる華楓。
「華楓、あなたはその紋章がある以上女神に選ばれた者であることは確か。女神を探してみる価値はありそうね」
「え?」
恋雪は華楓の手をとって言った。
「女神があなたを選んだ、本来この世界には自分の意思で来るのが通常なの。でもあなたがた3人は自分の意思でもなければ心当たりもない。とすると女神に、この世界に何かが起きているとしか思えないの。私の妄想かもしれないけど、華楓が女神に直接聞くのが一番よ」
「えっ?えっ!?突然何!?」
突然手を取られ熱い眼差しで恋雪に言われる華楓は戸惑いを隠せない。そんな華楓と恋雪を仲介するように陽二が口を割った。
「それって俺たちがこの世界の英雄みたいなもんってこと?」
「うん、そんなところかな」
「私は特別なの…か…」
恋雪と竜紀の言葉を改めて感じ取った華楓は深く考えていた。
「とりあえず、女神に会うに越したことはないんだろ?すぐにでも女神探しに行くか?」
珍しく行動的な陽二。それを見た竜紀は驚きを隠さずにはいられなかった。
「え、おまえどうしたの?」
「別に、なんかライバの歴史と神話を聞いてちょっと興味持っただけ」
「あ、陽二くんも興味持った?面白いでしょライバ神話!」
仲間が増えたと少し嬉しがる恋雪。
「…わかりました」
「え?」
突然の華楓の言葉に3人は同時に疑問を抱きそれが異口同音となった。
「私、女神様に直接あってお話してきます」
「決めたのね」
「正直ここが私にとっての架空の世界みたいなところであることには変わりありません。でも、そんなこの世界を大事に思っている人がいる以上その人が少しでも暮らしやすくなるなら、話を聞きに行くぐらいのことはしますよ」
華楓の心には強い決意があった。