第6章 能力と女神
恋雪はライバ神話の参考書を開きながら語り始めた
「華楓ちゃんのその紋章と話からするに恐らく空気と水の女神に選ばれたんじゃないかと思うのよ。そして同じようにここに来た人が6人はいると…」
「え、6人も?!」
予想してた人数よりはるかの多さに驚く竜紀。それは華楓も同じく
「待ってください。でも女神って6人ですよね…?」
重苦しい表情を一瞬見せた恋雪は覚悟を決めたかのように語り始めた。
「ええ、女神は実質火、水と空気、光と雷、草、鏡、無の6人いるとされているわ。無は他の能力と違って紋章はあっても目には見えない能力なの。そして幻の闇の女神がいるとされているの」
そう言って恋雪が開いたのは中央に大きく女神が書かれたページ。そこには7人の女神が書かれていた。そのうち5人の女神は膝をつき倒れており、1人は高らかに立っており、1人は何も出来ずに影に隠れて立っている。
「この影に隠れている女神が…」
「そう、無の女神。無の女神は窮地の状況では力は使えなかったとされているわ」
「あの…」
「何?」
ここまで黙って聞いていた陽二が恋雪に聞いた。
「そんなに女神の存在って大事ですか?」
「…実はライバと女神は唯一無二のような関係なのよ」
恋雪はもう一冊持っていた分厚い本を開いた。それはライバの歴史が記されている記録本だった。そしてあるページを恋雪は開く。
「昔からずっとライバは女神によって統一をされていたの。土地によって様々な女神が取り仕切っていて、それはもう平和な日々だったのよ」
「それも長くは続かなかったんですね」
「そう、闇の女神によって平和な日々は破壊されていった。そして今ではその女神の歴史が女尊男卑という差別によって語り継がれている状況なの」
重苦しい表情で恋雪は資料を閉じる。感心した陽二は一番の疑問を追求する。
「なんで女尊男卑に…」
「女神はただ平和に、揉め事は起こさぬよう仲介しながらこの世界の発展に全力を尽くしていた。でもそれが気に食わなかった闇の女神は男の人を中心に女尊男卑の考えへと染めていったと言われてるわ」
想像していたより遥かに深いライバの歴史に心奪われる3人。